2016/2/26 No.3243
■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■
 10秒で読む日経!視点が変わると仕事と投資のネタになる
■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■
   _______
   今日のNews
    ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
●シャープ、鴻海傘下入り決定 出資66%に
 有機ELに2000億円投資
 シャープは25日、台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業による買収提案を受け入れ
 ると発表した。出資を含めて総額6600億円規模の支援を受ける。鴻海はグルー
 プでシャープの議決権の約66%を押さえ、経営権を握る
                 日本経済新聞 2016年2月26日
●鴻海精密工業は25日、シャープ買収に向けた契約を暫定的に見合わせると発表
 した。「シャープから24日午前に受け取った文書に、はっきりさせなければい
 けない内容がある」としており、関係者によると「契約には数日かかる可能性
 がある」。この文書は約3500億円に達する財務のリスク関連情報で、退職金や
 他社との契約に関する違約金、政府補助金の返還などに関する内容が含まれて
 いるもよう。
 鴻海はリスク情報についての協議を求めたが、シャープはそれに応えず「取締
 役会を開いて買収受け入れを決めた」(関係者)という。まだ鴻海は資金拠出
 を決める取締役会を開いていない。
                日本経済新聞2016年2月26日

   __________
   佐々木の視点・考え方
    ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
★この話、要はシャープが債務超過なので増資を頼む相手が鴻海か産業革新機構か
 でさや当てしてたが、「現経営者は留任」「破綻処理しない」鴻海になったもの。

 増資の際には、発行会社と引受者の間で、つまりシャープと鴻海の間で、発行
 会社が「別紙記載のものを除き、偶発債務はない」という念書、保証書を提示
 させられることが多い。

 この念書の別紙が増資公表直前になるということは良くある。そして、発行会社
 は念書違反になって損失補償させられないように、別紙には出来るだけ多く偶発
 債務になりうるものをリストアップすることが多い。

 今回は、鴻海が認識していなかったものが記載されていたものが3500億円
 とシャープの時価総額の1.5倍もあって、こりゃ1から見直しだとなった。

 3500億円の偶発債務ならば、本来決算書に記載しておかなければいけない
 重大なもの。今回の出来事は、NOVAやオリンパスの決算を担当し、これ
 から東芝の決算も引き受けるKMPGの責任問題にもなり得る。

 偶発債務には含まれない今期の業績面から見ても、工場の操業停止費用や、上期
 に計上しなかったパネル評価損、米工場閉鎖費用、円高による打撃、アップルの
 注文の大幅減少等々、計上すべき損失はかなり大きくなる。

 昨日のシャープのプレスリリースは、鴻海からの延期通知、3割以上の業績変
 動の開示と言った重要情報を伏せたままのもので大きな問題。

 今期の巨額損を飲み更に3500億円の偶発債務となると、鴻海も真剣に見直し
 せざるを得ない。「1千億円の違約金を支払ってでも、追加損の補填を考えれば
 撤退が良し」となる可能性もある。

 「破綻させずに再建」から「破綻させて身ぎれいにしてからの再建」となる可
 能性が出てきた。産業革新機構も、いくら出資済みと言ってもこれだけ債務超
 過額が大きくなるようなら、破綻前には手出しできなくなる。

 少なくとも今回の一件で外国人投資家は「日本企業買収は、どれだけ隠れ債務
 があるか分らないから超ハイリスク」と再確認したことは間違いない。

 アカウンタビリティ(Accountability)とは「説明責任」と訳されているが、
 これは2000年ころから作られた言葉であり、多くの日本人にとっては、
 「私には関係ない言葉」だ。

 日本人は英語のresponsibility、人間として規範に沿って、道義的に行動する
 ことを責任として腑におちている。

 しかし「社会・外部に、はっきり説明できるように行動すること。それを守ら
 なければ自分は罰せられなければいけない」というAccountabilityが守らなけ
 ればいけない規範とはしていない。

 アカウンタビリティがない事が最大の問題だ。